第45回日本運動療法学会(*1)において、久留米大学病院リハビリテーション部所属の杉本幸広先生が発表した演題「経皮的電気刺激を併用した有酸素運動がBDNF分泌に及ぼす影響」が優秀演題賞を受賞しました。杉本先生は本学整形外科の志波直人教授、松瀬博夫准教授、橋田竜騎講師のサポートの下、粘り強く研究を重ね今回の受賞に至りました。

研究の概要

杉本先生は高齢化社会で問題になっているサルコペニアやフレイル、認知機能低下、疾病予防へ取り組んでいます。脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経細胞の成長、維持、合成に関わるマイオカイン(*2)でありBDNFは加齢によって減少し、高齢者の認知機能と関連があると言われています。この研究では久留米大学志波直人教授が開発したハイブリッドトレーニングシステム(HTS(*3))を有酸素運動(エルゴメータ運動(*4))に組み合わせて運動を行い、HTSを組み合わせたエルゴメータ運動は運動前後で有意にBDNFが増加することを認めました。

記念撮影grah

右から志波直人教授、杉本幸広先生、橋田竜騎講師(左) / 実験結果グラフ(右)

将来展望

HTSはBDNFを効率的に分泌することができ、健康増進・疾病予防への新たな治療戦略になりうると考えられ、予防医学や健康増進への貢献が期待されます。

用語説明

*1) 日本運動療法学会:運動器・神経筋疾患ならびに内部障害の治療あるいは予防に用いられている運動療法に関する研究を推進し、その成果を社会に還元することを目的とした学術団体。

*2) マイオカイン:筋肉から分泌されるホルモンの総称。筋肉作動物質。20種類以上が確認されておりそれぞれの働きについて盛んに研究されている。

*3)ハイブリッドトレーニング:関節に取り付けたセンサーによって、運動に合わせて電気刺激を同時に与えることができる装置。2015年に久留米大学とパナソニック株式会社との産学協同開発により製品化された筋力トレーニング機器、「ひざトレーナー」を使用して実験を行いました。

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実験に使用したひざトレーナー(パナソニック)

*4) エルゴメータ運動:自転車エルゴメータ、上肢エルゴメータなどがあり、負荷をかけて体力測定やトレーニングまたは機能向上などを促す。

発表

【演題名】「経皮的電気刺激を併用した有酸素運動がBDNF分泌に及ぼす影響」
【発表者】杉本 幸広
【所属】久留米大学病院 リハビリテーション部

http://jtea.kenkyuukai.jp/special/?id=35672